世界を笑わそ!―RAKUGO IN ENGLISH

大島希巳江 研究社 2001-11-26

最近は、こんな本を読んでました。大島希巳江さんが書かれた「世界を笑わそ」です。

落語を英語で表現する苦労話が詰まった本

英語落語を始めたいきさつと、その第1回公演となる「英語落語アメリカツアー ’98」、そして第2回公演となる「英語落語シンガポールツアー ’99」の様子が紹介されています。

「ユーモアで異文化交流」というのにひかれてこの本を手に取ったんですが、落語といえばほぼ会話だけで成立する話芸のこと、そのせいか書かれている英文もなんとなく読みやすい気がしました。

スピードラーニングの耳慣れた音を思い出しながら読めるからかな?(と思いたい・笑)

付録として「時うどん」(Time-Noodle)、「いらち車」(A Man in a Hurry」、「禁酒番屋」(The Prohibition)、「ちりとてちん」(Chili-tote-chin)、「動物園」(The Zoo)といった一席が英語と日本語両方で掲載されていて、文中でも落語を英語に移すときの苦労話が載っているので、似たようなことを表現するにも細かなニュアンスの違いが解説されていて参考になります。

会話に興味のある人が楽しく読めそうな本でしたよ。

日本人は笑わない!? ちょっとびっくりした外国人の日本人イメージ

この本でちょっとびっくりしたのが、「日本人は笑わない」というイメージがあるという話でした。

著者が英語落語に関わるきっかけとして、1996年にオーストラリアで開催されたユーモア学会で経験した話が紹介されていたのですが、「日本人って笑わない人が多いけど、日本にもユーモアのセンスはあるの?」という質問を受けるんだそうですよ。

なにそれ。海外の人って、日本人のことをそんなふうに思っていたんですか?(もしかして今も?)

というのも、管理人は真逆の印象を持っていたんです。

幕末、ハリスに通訳として同行したヒュースケンをはじめ、当時、日本を訪れた外国人が残した記録には、「日本人は実によく笑う」と書かれていた話を何かの本で読んでいたからです。

和歌山の串本町沖で発生したエルトゥールル号遭難事件でも、こんな話がありました。

救助された船員が元気になって立ち上がったとき、着せられていた日本人の着物があまりにもサイズ違いでツンツルテンだったことに日本人が大笑いしたのだとか。

当時の日本人は自分たちと海外の違いを興味津津で見つめ、面白がっていた印象があります。

「日本人は笑わない」だなんて、いつからそんな苦悩に満ちた顔ばかりを外国の人に見せるようになったんでしょうね(汗)

もしかして、笑うタイミングが違うのか?

本文66ページに「海外公演の留意点」として描かれていたんですけど、欧米の人は笑うのが早いそうですよ。こんな感じ。

特にエンターテイメントが充実しているアメリカでは、テンポの遅いものは御法度です。笑いどころをやたらと増やそうとするのは、欧米のプロのコメディアンには笑いの目安、というのがあるからなのです。アメリカでは1分間に5、6回観客を笑わせなければプロじゃないとさえいわれています。そんなハイテンポな笑いに慣れている人々の前では、12、3分の落語の中で笑いどころが2、3カ所というワケにはいかないのです。

なんと、10秒に1回笑うんですって!

日本人は笑うのが遅いから、外国の人は日本人が笑ってるのに気がついてないのかもしれませんよ。皆さん、笑いましょう(笑)

話芸のプロでも言いにくいものがある

それから、英語の発音でちょっと興味深い話がありました。発音に関して苦労するのは、噺家さんも同じみたいです。

とりあえず英訳した原稿とそのセリフを私が英語でふきこんだカセットテープを彼らへ送ります。で、向こうでは、テープを聞きながら発音を確認し、セリフを着々と覚えていきます。でも、やはりただの丸暗記では、落語を演じることはできません。自分なりに、自分に合ったセリフでないと、「腹におさまる」気がしないらしいのです。

英語落語の場合、そこから細かな調整に入るようですが、話芸のプロフェッショナルでも「言いにくい」といった問題があるなら、普通の人にもあって当然ですよね。なんかちょっと安心しました(笑)

発音に関しては、やはりコツはアクセントにあるようで、「細かい発音を気にする」よりは、「アクセントの位置」に気を付けるほうが通じる英語になるようです。

そういえばこれ、スピードラーニングでも、「発音の細かいところは気にせずに、聞いたとおりに真似してください」って言ってましたっけ。

英語を話してみたいと思っている人は、あまり形にこだわらずに、自分の言いやすい(腹におさまる?)フレーズを探してみたり、英語の音そのものに注意を払うのがいいみたいです。