
英語力アップにはなるべくたくさんの英語に触れることが大事
英語の勉強法の中には、多聴・多読という方法があります。いろいろな英語をたくさん聞くことが多聴、そして、たくさん読むことが多読とされています。
スピードラーニングは辞書を引かずに聞き流しするわけですから、どっちかというと多聴の部類に入りそうですよね。両者を比べてみると何かわかることがあるかもしれません。
というわけで、多聴と多読ってどんなものなのか簡単に調べてみることにしました。
英語の多読の元祖は、明治の文豪 夏目漱石
多読の元祖としてよく紹介される人に、明治時代の文豪の夏目漱石がいます。
作家になる前は英語の先生をしたり、イギリスに留学したりしている漱石先生ですが、「一貫したる不勉強」で紹介されるように、学生時代は英語の勉強には苦労されていたみたいですね。
先に英語の勉強をしていたお兄さんに教えてもらってもよくわからないのに、英語の勉強ができる学校に入ってみたら原書しか使わないというとんでもない環境だったようで(笑)
そんななかで、漱石先生の英語の力を伸ばしたのが多読だったというわけです。
「現代読書法」の中でも、漱石先生は多読のメリットをこんなふうに語っています。
英語を修る青年は或る程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山読むがよい。少し分からない節があって其処は飛ばして読んで往ってもドシドシと読書して往くと終には解るようになる。又前後の関係でも了解せられる。其れでも解らないのは滅多に出ない文字である。要するに英語を学ぶ者は日本人がちょうど国語を学ぶような状態に自然的習慣によってやるがよい。即ち幾変となく繰り返し繰り返しするがよい。ちと極端な話のようだが之も自然の方法であるから手当たり次第読んでいくがよかろう。
夏目漱石『現代読書法』
やさしい内容の英文を100万語単位で読んでいく多読
漱石先生の「現代読書法」には「或る程度まで修めたら」と書かれているので、多読を始めるのは「ある程度実力を持ってから」とする人もいるみたいですが、現在の多読では英語のレベルを自分に合わせれば、特に実力を持ってるかどうかは不問みたいです。
大切なのは、以下の3点。
・わからないところは飛ばす
・つまらなくなったら止める
「快読100万語!ペーパーバックへの道」酒井邦秀著
つまり、辞書を引かなくてもわかる本を選んで、わからない所があってもわかっている所をつなげて読んでいくことが大切というわけです。
楽しく読めない本は自分に合っていないわけだから、「読まない」という選択になります。
いちいち日本語に訳していたのでは英語に触れる機会は狭まってしまいますが、こうして「ドシドシと読書して往く」ことで、英語に広く触れることができるようになっていきます。
多読と精読を比較すると…
多読といってもピンときませんが(汗)精読の代表とも言える学校教育の英語と比べるとよくわかります。英語の量としてはこんな感じになるようですよ。
富山英語クラブ 英語の達人の講演「英語多読講演会」 平成19年11月
4800語程度の精読に対し、多読では100万語単位で読んでいくのが基本になります。
ペーバーバックは8万語くらいなので、100万語はペーパーバック12冊分にもなるのですが、いきなりペーパーバック12冊を読むのと違い、絵本やOxford Bookwormsの初級レベルなど優しいものを多数読破していくので、達成はそれほど難しいことではないみたいです。
ただ、本代がけっこうかかりそうなのが心配ですけど(汗)
それに不安な点として、英語の音に慣れていない場合、勝手な音で読んでしまうところも気になります。
初心者のうちはCD付きの書籍を利用することになりますが、発音や聞き取りにも影響することなので、この辺のバランスは、やはり何かアドバイスをもらえるような英語サークルに参加して進めていくのがいいみたいです。
多聴の場合
多聴の場合も、あまり細かいことにこだわらず、英語にたくさん触れることを目指すのが基本的なスタイルになるようです。
スピードラーニングが全部で48巻も用意されているのは、やはり「多聴」というスタイルだからでしょうか?(実際に取り組む場合、48巻すべてをそろえなくてはいけないというわけではないみたいですが)
ただ、多聴に取り組む際、難しいのは「どの素材を選ぶのか」が問題になります。
レベルが自分に合っていないと、わからない単語などが出てくるたびに立ち止まってしまうので、ストレスになって続かなくなる原因にもなります。
選ぶ際は、「スムーズに聞けるかどうか」がかなりのポイントになるようですよ。音声を止めずに内容が理解でき、楽しむことができれば、その素材は自分に合っているといえます。
この点、スピードラーニングはネイティブのナチュラルスピードを保ちつつ、「英語-日本語」と交互に聞き流しができるので、初心者でも内容の把握が簡単にできるという構成になっているので、理想的な多聴スタイルと言えそうです。
量に接することで得られるメリット
多読にしても多聴にしても、自分に合ったものをたくさん読んだり聞いたりすることで、同じ表現に何度も触れる機会が増えます。
このため、わからない部分があっても、いろんなパターンで出会うので、辞書を引かなくても自然と意味がとれるようになるというわけです。
ただ、多読の場合、実行していても効果があまりあがらない例もあるようです。
それは、ボトムアップに積み上げて英語をマスターしていく方法を併用した場合で、ディクテーション、音読筆写、TOEIC、精読などがあります。
多読は、本があれば自分の力で取り組むことができる気軽な勉強スタイルですが、他の勉強と組み合わせていく場合は、どの勉強法をどのように併用するのか、タイミングなどを見る必要があるようです。
自分で勝手に進めるよりは、アドバイスがもらえるような英語サークルに参加して取り組むのがおすすめとなるようです。
時間の捻出が大変な社会人にとっては、ちょっと大変な勉強法かもしれませんね(汗)
初心者からのレベルがある多読向け書籍⇒Oxford Bookworms