生き残った柱は、なぜ2人なの? 陰陽五行から考えてみた

太極図

There were only two members of hashira who survived the final battle. When applied to the five elements of Yin and Yang, they seem to have a common reason.
最終決戦を生き抜いた柱は2名になっていました。陰陽五行に当てはめると、二人には共通する理由があるようです。

(この記事は、7巻、23巻、ファンブック第1弾のネタバレを含みます)
 

陰陽五行説では、「2」は陰を表す最小の数字でした。反対に、「9」は陽を表す最大の数字と考えられています。

「陽」が最大になるのは、一見、いいことのように見えますが、一方の勢力が極まると、もう一方の勢力の兆しが生まれ、「陰陽転化」(いんようてんか)といって、陰陽の質的な変化が起こると考えられています。

つまり陽が極まると「陽→陰」に、陰が極まると「陰→陽」に絶えず変化していくわけです。

「鬼滅の刃」の柱は、最初、柱の上限(ファンブック第一弾 87頁)とされている9名から始まって、最後は2名になるわけですが、これはまるで陰陽五行説の陰陽転化を起こそうとしているように見えます。

では、柱で生き残った最後の2名が水柱と風柱だったのはなぜでしょう? 陰陽五行で見ると、この2人には共通するものがあるようです。

その共通点を見つけるために、陰陽五行と季節を重ねてみる必要があります。図にすると、こんな感じ。

 
柱と陰陽五行の関係
 

「黒」、「青」、「赤」、「白」、そして中央の「黃」は「木火土金水」の五行を表していて、「黒」「青」「赤」「白」は四季を重ねています。

中央は十二支で、子は11月、丑は12月、寅は1月… と、対応しています。十二支は月日や時刻にも用いられていたので、こんな風に季節と重ねることができるんですね。

鬼殺の剣士が使う呼吸で、基本となるのは「炎」「水」「風」「岩」「雷」で、他の呼吸はそこからさらに枝分かれした「派生」になるといいます。(7巻 54話、ファンブック第一弾 20頁)

陰陽五行説によると、この世界は原初唯一の「混沌」から陰陽の二気が分かれて五行が生まれたといいます。なので、この世のあらゆるものは、陰陽五行に当てはめることができると考えるわけですね。

ということは、呼吸も陰陽五行で分けることができそうです。

上の図では基本の呼吸は中心部に寄せて、派生の呼吸は外側に寄せてみました。青い丸をつけているのは、生き残った柱です。

呼吸の分け方は、以下のように考えてみました。

木に属する、雷柱、風柱

「木」が表すものは草木の成長です。季節は春に配置されます。「水」に育てられた「木」は大地を覆い、「火」を生み出す燃料になります。

 

ちょっとびっくりしますが、陰陽五行説では「風」と「雷」は木気に属します。

例えば雷を制するために、古来「金気」の刃が用いられていました。「今昔物語集」に出てくる在原業平が、鳴り響く雷に対して太刀を抜いてきらめかせていたのは、「金剋木」(きんこくもく)の法則に従って、「雷=木」を「太刀=金」で打ち消していたんですね。

風柱は「風」なので、「木」。

雷柱は「雷」なので、「木」。

でも、雷柱は当時不在だったので、上の図ではカッコをつけました。ファンブックによると、音柱は雷の派生ということなので、「木」に分類しています。

火に属する、炎柱、恋柱

「火」が表すものは燃え盛る炎や、その集積と考えられていた太陽です。季節は夏に配置されます。「木」から生じた「火」は燃え尽きて「灰」となり、「木」の持つ栄養を土にかえします。

 

炎柱はもちろん「火」ですよね。

ファンブックによると、恋柱は炎の派生ということなので、「火」に分類しました。

土に属する柱、なし

「土」が表すものは大地です。季節の中央に位置し、また季節の変わり目にも「土用」として配置されます。「火」から生まれ、大きな山をなし、「金」を生み出します。

 

「土」だから、岩柱?と考えてしまいますが、岩柱は「金」に分類できそうです。

金に属する、岩柱

「金」が表すものは金属や岩石などの金石(きんせき)です。季節は秋に配置されます。「土」を構成する山から生まれ、採掘されて「水」とともに現れます。

 

岩柱は「金」に分類しました。

陰陽五行では、岩は土から生まれると考えられているからですが、岩柱の呼吸もヒントになります。参ノ型に「岩軀の膚」(がんくのはだえ)という言葉がでてくるのです。

人体の五臓「肝、心、脾、肺、腎」にも陰陽五行が割り当てられていて、肺には「金気」が対応しています。

ただ、肺は呼吸を行う臓器ですが、東洋医学ではさらに気・血・津液(しんえき)を全身に行き渡らせる働きがあると考えられていて、呼吸の他に汗を出す「皮膚」、リンパ液が関わる「免疫機能」、身体を巡って排泄されるまでの「水分代謝」などにも関わっているとされています。このため、「金」には「膚」も分類されているんですね。

技名の中に「膚」がある岩柱には、「金気」が割り当てられていそうです。

 

津液
体内各所を潤す、血以外のすべてのもの。

 

参考 生命活動の5本柱「五臓」 | 小太郎漢方製薬株式会社
参考 第23回 五行学説とは(木火土金水の特性) | 薬読
 

水に属する、水柱、蛇柱、蟲柱

「水」が表すものは万物の源の水です。季節は冬に配置されます。「金」から生まれ、冬の寒さに雪や氷となってとどまり、春になると再び流れ出して「木」を育てます。

 

水柱は「水」ですよね。

ファンブックによると、蛇柱、花柱は水の派生、蟲柱は花の派生ということなので、「水」に分類しました。花柱も当時不在なので、カッコをつけています。

生き残った者の条件

こうしてみると、派生の呼吸は音柱以外は亡くなっています。

音柱も、禰豆子がいなかったら遺言も残せないほど危なかったわけで、生き残ったのは例外といえそうです。

というわけで、生き残る条件の一つは「基本の呼吸であること」といえそうです。

では、基本の呼吸である「水」「風」「炎」「岩」を分けたものはなんでしょう?

干支を見てみると、水柱のいる「冬」の季節には「丑」が、そして風柱のいる「春」の季節には「寅」があります。

 
柱と陰陽五行の関係、方角も入れた場合
 

十二支は月日や季節の他に、方角も表していましたよね。というわけで、上の図は方角を重ねてみました。

丑寅(艮)は方角でいうと「北東」で、古来、鬼が現れるとされる「鬼門」と呼ばれる方角に当たります。

「鬼滅の刃」のキャッチコピーは、「日本一慈しい鬼退治」。方角的にも、鬼に近いことが重要になるのかもしれませんね。

生き残るもう一つの条件は、「鬼にかかわる方角に属していること」ということがいえそうです。

とういわけで、陰陽五行に当てはめて考えると、「鬼滅の刃」のいろいろなことが理解できそうです。

柱の数は曼荼羅のイメージで読み説くことができそうですよ。

よかったら、こちらの記事も覗いてみてくださいね。

 

 

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