日本人はアイコンタクトが苦手ってよく言われますよね。
普段、アイコンタクトなんてほとんど使うことがないので、慣れてないんだから当然といえば当然なのですが。
でも、今回の東京大学総合文化研究科の記者発表によると、それは「生理的」なことが原因になっているのではなく、「文化的な習慣」が原因になっている可能性があることがわかったのだそうです。
参考 日本人はアイコンタクトをとられると「近づきがたい」と感じる―より円滑な異文化コミュニケーションに向けて―
「生理的」というとちょっとわかりにくいですけど、パーソナル・スペースみたいに、がら空きの電車なのにわざわざ自分のとなりにやって来て、ドカッと座る人を不快に感じる… といった感覚のことみたいですよ。
アイコンタクトが苦手な日本人は、「こっち見るなこら!気持ち悪いだろ」と感じてるのか、それとも何か文化的な習慣がもとになっているのか、今回の実験では少し詳しく調べてみたということみたいです。
アイコンタクトに対する感覚は、実はみんな生まれながらにして持っているらしい
人の発達で見ると、赤ちゃんの時代は日本人や欧米人の区別なくアイコンタクトに対する敏感さがあるそうです。
つまり、アイコンタクトをとっている人がいると、そっちに顔を向けるというわけですね。
生後2~5日くらいの赤ちゃんでもこの反応は見られるそうなので、アイコンタクトは生まれながらにして人に備わっている能力といえます。
ただ、その後、文化差が現れるのですが、そこにどんなメカニズムが働いているのかは、今回の実験以前では、まだ研究されていなかったみたいです。
すれ違いを生んでいたのは文化の差だった
この実験では、日本人とフィンランド人で共通していることが調べられています。
正面向きの顔は、よそを向いた顔に比べると、心拍数が減少することや心理評定の結果から覚醒度が高まることから、共通して注意が高まる結果になったそうです。
これには日本人、フィンランド人、どちらも同じで、文化に関係なく現れる反応だったのだとか。
つまり、アイコンタクトがあると、日本人とかフィンランド人といった区別はなく、「共通して注意が高まっていた」というわけですね。
ただ、心理的な評価では大きな違いがあって、日本人はフィンランド人に比べると、正面向きの顔に対して、より「怒っている」とか「近づきがたい」と感じていることがわかったのだそうです。
確かに、よその人にジロジロ見られていたら、なんか気に障ることでもしたかしらって思っちゃいますよね(汗)
この実験の結果、日本人にとって無意識にアイコンタクトを避けるのは、何か心理的なものが原因なのではなく、相手に近づきがたい印象を与えないようにしているという文化的なものだったということになるようです。
ちなみに、イギリス、フランス、スペインといった国は「あなたの話を聞いていますよ」、「敵対する気持ちはありませんよ、誠実な気持ちで接していますよ」ということを表すためにアイコンタクトを重視する文化があるみたいです。
今回、比較されたフィンランドは、北欧の国の1つ。(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランド)
国際連合による分類では、イギリス(グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国)やアイルランドも含めて北欧に分類されます。
まとめ
海外の人、特に欧米の人とコミュニケーションをするなら、やはりアイコンタクトは避けて通れない手段になります。
アイコンタクトが気になっても、「相手は別に怒ってるわけじゃない」と理解できているのとできていないのとでは、無意識の感覚が影響している分、こちらの態度に大きな差が出てしまいそう。
海外の人と挨拶する際の注意点は、こちらの記事にもまとめているので、よかったら覗いてみてくださいね。