大人が英語の聞き流しをしても効果はないけれど、小さな子どもならすべての音を取り込むことができるので、聞き流すだけでも英語を習得することができる──
そんな話を聞いたことがありませんか?
でも、子どもが言葉を獲得するのって、実際のところどんなふうになっているんでしょう? この記事では子どもの言葉の習得について、ちょっと調べてみることにしました。
最初は、聞こえる言葉を聞きためる
生まれた赤ちゃんは、問題なく耳が聞こえる状態であっても、お母さんの言葉が理解できているわけではありません。
ただ、おむつ替えやミルクのときに話しかけるお母さんの言葉はわからなくても、お母さんに十分な世話をしてもらい、その都度感じる「うれしい、楽しい」という感覚と一緒に、赤ちゃんの脳にはお母さんの声が記憶されていきます。
子どもの成長を研究する分野では、こうした経験を繰り返すことで、言葉が脳に蓄積されていくと見られています。
生後3~4カ月を過ぎると、声や音の聞き取りが上手になるので、お母さんの声を聞き分けて安心するようになりますが、まだ言葉は発しません。
反射的に声を出したり、叫んだり、笑ったり泣いたりするだけです。
専門的には「前言語期」という時期です。
ただこの時期に言葉を出さないのは、3~4か月ごろまでは口や喉の構造が母乳やミルクを飲むのに適した形をしているため、複雑な音を出すのが難しいという体の構造的な理由もあります。
赤ちゃんの発語はコミュニケーションが基本
1歳の誕生日を迎えるころになると、赤ちゃんは周りの人の言葉がほとんどわかるようになります。
この間、赤ちゃんは何もしていないわけではなく、いろんな声を出すようになります。口の構造も咽頭が広がるなどの変化があるので、声を出して笑ったり、片言が話せるようになります。
専門的には「声遊び期」(4~6カ月ごろ)、基準喃語期(6カ月~10カ月)、初語(1歳頃)と呼ばれる時期です。
この時期は赤ちゃんが発する声に、周りの人が喜んだり心配したり、いろんな反応とともにその場に合った言葉をかけます。
まだ言葉にならない声と、周りからかけられる言葉のやりとりをとおして、赤ちゃんの中に「わかる言葉」が増えていき、ようやく片言が話せるようになります。
赤ちゃんの場合、成長するうえで構造的に発声ができない時期がありますが、言葉の獲得のためには、ただ人の声を聞くだけでなく、両親や家族、周囲の知人と交わすコミュニケーションが大きな影響を持っていることが窺えます。
言葉を獲得するこの時期は、聞き流す量を重視するより、コミュニケーションを重視していくのがいいみたいですね。
3歳くらいから小学校くらいまでの発達については別記事で書いているので、よかったらそちらも覗いてみてくださいね。