禰豆子の口枷に使う竹は、歌舞伎にヒントあり?

竹

Nezuko Kamado is wearing a bamboo Mouth Shackle that was given by Giyu Tomioka. In Kabuki, bamboo is used to push vengeful ghosts and evil spirits back to the stage from the flower path.
竈門禰豆子は冨岡義勇から与えられた竹の口枷をつけています。歌舞伎では、竹を使って怨霊や悪鬼を花道から舞台に押し戻します。

鬼滅の刃の禰豆子は、竹でできた口枷をつけています。

でも、禰豆子の竹って、節の位置が少し変じゃありません? 竹筒でご飯を炊く時みたいに両サイドが切りっぱなしになっていれば特に違和感はないんだけど、両サイドの切り口にも節らしいものが描かれているので、外側の節と節の間がそれぞれ狭すぎるんですよね…。

もしかして、外側の節の部分は別パーツで、両側から差し込んであるのかな? 紐に負担が掛からないように。わかりませんが。

ともあれ、鬼に襲われて鬼と化した禰豆子のために、炭治郎たちを助けた水柱の義勇さんによって、この口枷が取り付けられました。

でも、どうして竹なんでしょう? しなやかで折れにくいから?

十日えびすの縁起物をつける福笹や、天神さんの献湯神事(けんとうしんじ)で使われる笹束など、神社では笹をよく見かけますが、笹や竹で鬼を退治するような話は、あまり聞いたことがありません。

実際、炭治郎たちが鱗滝さんのいる狭霧山へ向かう途中では、禰豆子は竹で補強したカゴの中に普通に入ってましたもんね。竹が鬼避けになるのなら、これはちょっと不思議な展開です。

解決してくれそうな、何か関係のある話ってないのかしら?

と思っていたところ、歌舞伎に出てくる大館左馬五郎(おおだてさまごろう)という興味深い役柄をみつけました。

歌舞伎十八番の「押戻」は、悪霊や悪鬼を押し戻す

大館左馬五郎

それが、この人なんですけどね。

荒事(あらごと)と呼ばれる赤い隈取をして蓑を着け、腰には三本太刀(二本太刀の伊之助より多い!)、竹笠と太い青竹を持って、「押戻」(おしもどし)という場面に登場します。

押戻というのは歌舞伎十八番の一つで、独立した脚本がある演目ではなく、役や演出そのもののことをいいます。なので、お芝居によっては大館左馬五郎が竹抜五郎(たけぬきごろう)になったりします。

「鳴神」(なるかみ)や「双面」(ふたおもて)、「道成寺」といった怨霊の現れる演目で、舞台から花道へ向かおうとする怨霊や悪鬼の前に立ちはだかり、舞台奥へ押し戻して退散させるのが役目です。

怨みをのんで死んでいった人の霊を、荒人神(あらひとがみ)とか、御霊(ごりょう)といって祀る風習がありますが、大館左馬五郎の「五郎」は、この「御霊」の音に通じているそうですよ。

姿も鬼に通じる出で立ちになっていて、飛鳥時代に考えられていた鬼は、左馬五郎の蓑や笠のように、姿を隠す物を身に着けて現れると考えられていたみたいです。ちょうど秋田の「なまはげ」みたいな感じですね。

でも、こんなところに使われる青竹なら、禰豆子がもしも人を襲いそうになっても押し戻してくれそうです(笑)

竹は古来、神聖なものでした

雪景色の竹林

左馬五郎が手に持つ青竹は、空へ向かってまっすぐ伸びる様子から、自然の神気が舞い降りてくるとされる植物です。

岩戸隠れの伝説でも、天の岩戸に姿を隠した天照大神(アマテラスオオミカミ)を誘い出す踊りを舞う際に、天宇受売命(アメノウズメノミコト)は天香久山(アマノカグヤマ)の笹の葉を手にしていました。

地鎮祭では、「忌竹」(いみだけ)と呼ばれる青竹を祭場の四隅に立てて、注連縄(しめなわ)を張り、そこが聖域であることを示しています。

そういえば、これからの季節は門松にも使われますよね。

古くは、松、杉、椎、榊と常緑樹を中心にしたけっこうシンプルなものだったみたいですが、「松は千歳を契り、竹は万代を契る」とたとえられる組み合わせは、家が永遠に栄え続くようにという願いが込められています。

このように、竹には直接、鬼を退治するような話はないけれど、呪術的な力や浄める力があると古くから考えられていたし、歌舞伎ではこうした竹を使って怨霊や悪鬼を押し戻す演出もあるほどなので、禰豆子の鬼の力を抑え込むのには最適と言えそうです。

それにしても、原作やアニメには周囲に竹林のような描写は見当たらなかったんだけど、近所に竹林があったのでしょうか。炭治郎の家は炭焼きなので、竹炭の材料として、ほど近い場所に竹林があってもおかしくはないのですが。

遠くはないにしても、あの雪が積もる山の中、義勇さんは禰豆子のために竹を探しに行ったわけですよね。

禰豆子の顔に合うサイズを吟味しながら、雪の中を探すのは結構大変だったろうなと思うと、ちょっと可愛らしいですね(笑)

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